パナマ文書(Panama Papers)
【ぱなまぶんしょ】
世界中の企業や個人が、タックス・ヘイブン(租税回避地)のパナマで節税対策を行っていたことを裏付けるデータの通称。国際的な企業や政治家、著名人、スポーツ選手などが含まれているとされる。
2016年4月、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が公表したことで明るみに出た。タックス・ヘイブンの業務を取り扱う同国の法律事務Mossack Fonseca(モサック・フォンセカ)で作成、管理されていたデータが流出。Süddeutsche Zeitung(南ドイツ新聞)に持ち込まれたのがきっかけとなった。このデータは、同社の業務内容40年間分を記録。総計で2.6テラバイトと膨大な量とされる。
タックス・ヘイブンを利用することは違法ではない。しかし、自国ないで得た利益を、パナマなどのタックス・ヘイブンの国内に設立したペーパーカンパニーに送金。課税を逃れる行為で、世界中から非難の声が上がっている。さらに、犯罪組織のマネーロンダリング(資金洗浄)に悪用されているという指摘もある。
パナマ文章のリストを国別に見ると、日本の企業は24社、個人は360人。アメリカの企業は3072社、個人は3467人となっている。
パナマ文章には、世界の指導者などが含まれていることから、さらに注目を集めている。指導者(または指導者だった者)は12人、その親族などが60人とされる。その中にはイギリスのデーヴィッド・キャメロン首相の父、ロシアのウラジミール・プーチン大統領の側近、中国の習近平国家主席の親族などが含まれている。アイスランドのシグムンドゥル・ダヴィード・グンラウグソン首相は家族の資産隠しを指摘され、2016年4月、退陣に追い込まれた。
また、国際的な映画俳優のジャッキー・チェン氏、サッカーのリオネル・メッシ選手、F1ドライバーのニコ・ロズベルグ選手などの名前も挙がっている。
データは膨大であることから、解析作業は継続されている。このため、現在挙がっているのは氷山の一角という見方が強い。今後、新たな事実が明るみに出た場合、世界経済に及ぼす影響が懸念される。(Abe,2016/4/26)
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