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遺言控除
【ゆいごんこうじょ】


 有効な遺言書による相続となった場合、相続税の基礎控除額に上乗せして控除される仕組み。自由民主党の「家族の絆を守る特命委員会」によって提案され、早ければ2017年度中の実施を目指している。控除額は数百万円程度とみられ、仮に200万円の場合、相続税額が20万円(10%)~110万円(最高税率:55%)減税となる。相続税額が基礎控除枠内に収まる場合は関係ない。

 現在の相続税課税対象者のうち、有効な遺言書がある場合は2~3割にとどまる。遺言書が無いために親族間で遺産を争う紛争に発展したり、遺産分割協議が進まず、結果不動産処分ができず空き家として放置されるなどの社会問題にもつながっている。

 相続税の基礎控除額は、2015年の税制改革で、それまで(5000万円+法定相続人数×1000万円)の6割(3000万円+法定相続人の数×600万円)に減額となったため、相続税課税対象者が大幅に増える。たとえば両親の何れかが亡くなる1次相続時、子が4人いる場合の基礎控除額総額は、1億円から6000万円まで下がる(新たに4000万円分が課税対象となる)。相続税は、相続発生時の10か月後までに現金で納付する必要があるため、その間にすべての相続財産を把握し、不動産がある場合はその価値を算出し、相続対象者への分割を具体的に決めなければならない。この過程において、遺言書のあるなしでスムーズにいくかどうか決まる場合もあり、遺言書の存在意義がある。

 ただし、遺言書には法的に定められた形式があり、自筆証書遺言の場合はいつでも簡単に作成・更新できるが、自らが自筆しなければならない上、日付や記載事項を間違うと無効とされる場合もある。またその存在や有効性について争われる場合もあり管理には注意が必要だ。また公正証書遺言の場合は効力については問題ない場合も多いが、費用が発生するほか、書き直しのたびに手間がかかるという問題もある。

 遺言は、自分の死後に有効になるため、本人が準備に消極的な場合もある。家族が遺言の作成を促すことで、家族関係が壊れる場合もあるため、親に勧める場合は注意が必要だ。(k,2017/9)




時事用語のABC
「時事用語のABC」
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