100辞書・辞典一括検索

JLogos

17


【こめ】


コシヒカリの品種上の本名は、「農林一〇〇号」

海外赴任旅行など、日本離れていちばん恋しくなるのは、やはり日本の米ではないだろうか。日本の米市場筆頭銘柄といえば「コシヒカリ」とササニシキ」。これらならば、おかずがなくても食べられるという人もいるだろう。コシヒカリササニシキには、一般に流通するときの名前とは別に品種上の名前が付いている。コシヒカリが「農林一〇〇号」で、ササニシキが「農林一五〇号」だ。一〇〇号、一五〇号というからには、一号もあるのかといえば、「農林一号」も、もちろんある。農林一号は、山形県小作人をしていた阿部亀治明治二六年に創選し、現在の食味品種元祖といわれる「亀ノ尾」の孫にあたる。そして、この農林一号は、実はコシヒカリお父さんなのである。コシヒカリササニシキも、掛け合わせ品種改良によってでき上がった米だ。コシヒカリは、おいしくてとれ高も多いが、いもち病弱い農林一号と、いもち病強く品質がよい農林二号掛け合わせた米で、味がよいうえに栽培適地広く耐寒性が高いなど、長所ばかりを集めてでき上がった優等生だ。ササニシキも東北の名米「ササグレ東北五四号)」と、コシヒカリ同じく農林一号と農林二号を親とする「ハツニシキ(奥羽二二四号)」の掛け合わせだ。どちらも日本代表するブランド米となった。ちなみに、コシヒカリ奥羽二九二号掛け合わせたのが「あきたこまち」である。本来、こういった品種改良は、その土地の気候土壌合わせ病気強く寒さに耐えられるようにといった目的でおこなっている。よりおいしい米をつくろうとする努力結晶が、新種の米というわけだ。現在では、年間約二〇種類もの新種ができているが、実際に新種誕生するまでには、一〇年以上年月をかけるのが普通である。また、おいしい米をつくるだけでは、なかなか売れなかったりもする。そこで、米のイメージピッタリの「名称」を付けてあげるわけだ。最近では、宮城県の「ひとめぼれ」のように、名称公募するケースも増えている。コシヒカリササニシキがブランド米に育った背景には、やはりネーミングのよさがあっただろう。パッケージ印刷されたネーミングが「農林一〇〇号」では、どんなにおいしいお米でも、消費者はなかなか手を出すまい。




東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820325