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猫ふんじゃった
【ねこふんじゃった】


踏んだのは猫ではなく、ノミ?

ピアノ前にすると、とりあえず『猫ふんじゃった』を弾いてみるという人は多い。この『猫ふんじゃった』、実は国によってまったく違うタイトル持つという愉快な曲なのだ。ドイツでは『ノミワルツ』、フランスでは『カツレツ』、デンマークでは『王女両足』、スペインでは『チョコレート』、ハンガリーでは『ロバマーチ』、ロシアでは『犬のワルツ』、キューバでは『アヒルの子たち』、メキシコでは『お猿さん』、アルゼンチンでは『愚か者のポルカ』など、どうしたらそこまで違ってしまうのかというほどに違う。このミステリーに魅せられ、一五年以上研究している人がいる。都内ピアノ教師をしている宮本ルミ子さんがその人。きっかけは輸入楽譜店でたまたま手にした『猫ふんじゃった』の楽譜だった。しかし、ドイツ語で書かれたタイトルは『ノミワルツ』。それから世界各国楽譜を集めはじめ、現在では二六の曲名があることがわかっているという。曲名のパターンとしては、猫や犬など動物が入っているもの、箸はしにまつわるもの、食べ物が入っているもの、デンマークの『公爵夫人』のように人にまつわるものなどである。マジョルカ島の『追い出しポルカ』のように、いずれにも当てはまらないものもある。なぜ同じ曲でこうもタイトル違うのか謎は深まるが、残念ながら理由不明である。また、この曲の作曲者や作曲年代にも諸説あり、そのうちの一つが、一八九六年にドイツ作曲家フェルナンドローによって作曲されたという説。タイトルの『FLOH WALZERノミワルツ)』は、フェルナンドイニシャル・Fと苗字の音をつなげて「FLOH」にしたのではないかという。実際のところは、作曲者も作曲年代もいまだに不明日本語版のタイトル歌詞についても、詳しいことはわかっていない。『猫ふんじゃった』のミステリーはまだまだ続く




東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820675