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花札
【はなふだ】


花札の風流な絵柄は、賭博禁止令逃れの偽装だった!

カードゲームといえばトランプ花札相場だが、実はこの二つルーツ同じである。一六世紀後半ポルトガル商人によって伝わったトランプは、ポルトガル語カルタ(carta)をそのまま日本語読み替えて「かるた」と呼ばれるようになった。枚数は四八枚でおもに賭け事に使われ、江戸幕府によるかるた禁止令が度々出されたという記録が残っている。これら賭博系のかるたが「天正かるた」と呼ばれるのに対して日本古来より存在した貝覆い(貝合わせ)の流れをくむ絵合わせかるたは「花鳥合わせ」と呼ばれ、おもに子どもの教育用に使われたとされている。「天正かるたはご法度だが、花鳥合わせなら堂々とできる」。これに目をつけたのが三度のメシより賭博好きな輩だったか、金儲けをたくらむかるた製造業者だったかは定かでないが、それまで一二柄四組であったものを四柄一二組に組み替え優雅な花鳥風月を配して、一見花鳥合わせ」に似せた「天正かるた」をつくり上げてしまった者がいたのだ。これが現在の花札ルーツというわけだ。つまり花札はもとをたどれば西洋トランプなのである。初期の花札には古歌書き添えられているものもあるが、これも歌がるたのように見せかけるための偽装工作一つだと考えられている。現在の花札明治時代一般的だったパターン定着したもので、一二柄にそれぞれ一月から一二月までの月にちなんだ図案を配している。一月は松に鶴、三月は桜に幕、八月ススキに月と雁、一〇月は紅葉に鹿といった具合である。ところが一一月と一二月だけは例外で、一二月の「桐に鳳凰」は、一年最後という意味で「限」(ピンからキリというときの「キリ」)と語呂合わせをしたという説があるが、一一月の雨札にいたっては、ジョーカー的な使い方をされることも含めて、なぜそうなのかは謎なのだという。ちなみに、一〇月の鹿は横を向いている。これが、人を無視したりする意味使う「しかと(鹿十)」の語源だ。




東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820715