EPA
Economic Partnership Agreement
自由貿易協定(FTA)が財・サービス貿易の自由化を目指すのに対し、経済連携協定は、FTAを軸にしながら、より広範な分野での連携に狙いがある。具体的には、人(労働力)やカネ(資本)などの移動に関しても制限を撤廃し、併せて知的財産権や競争政策に関するルール作りや、経済制度の調和、紛争処理手続きなども視野に入れている。中国や韓国がASEAN諸国とのFTA交渉で先行しているのに対し、日本は立ち遅れ感が否めず、経済界から不満が募っていた。その最大の原因は、日本国内に農産物の輸入自由化への抵抗が強いことである。そこで日本政府は、単なるFTAではなく、相互に対等な立場で連携する意味を込めたEPAで、交渉の立ち遅れを取り戻そうとしてきた。EPAは、看護師、介護士など特殊技能を持った労働力の移動や、相手国への農業技術協力を促進することも含むので、FTAよりも相互に受け入れやすいということもある。日本は2002年11月のシンガポール、05年4月のメキシコに続き、同年末にはフィリピン、マレーシア、タイとも、EPAの基本合意に達した。さらに経済産業省は06年に入って、オーストラリア、インド、中国、韓国とASEAN10カ国にまで枠組みを広げた「東アジアEPA」構想や、アジア版OECD(経済協力開発機構)を提唱している。
| 朝日新聞社 「知恵蔵2009」 JLogosID : 14844912 |