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NHK改革の行方


 2004年夏以降、NHKの不祥事が次々と表に出て、受信料不払いが激増した。このままではいけない。そんな思いで改革の行方を見守った人ほど、がっかりしたのではないか。
民営化も含めて議論する」。06年1月、そんな勢いで始まったのは、竹中平蔵総務相が設けた「通信・放送の在り方関する懇談会」。しかし、自民党との調整を経た改革案は、腰砕けという批判を受けても仕方のないものだった。
衛星放送チャンネル削減を検討する。娯楽番組の制作部門を分離して子会社にする。スリム化を進めた上で、受信料引き下げ支払い義務化、必要な不払いへの罰則も検討……。
不祥事に端を発した論議が罰則に終わったのでは、「焼け太り」ではないか。そんな批判を意識して、スリム化、受信料値下げを言い出したようだ。そもそも、公共放送とは何かという議論は乏しかった。民営化を真剣に話し合っても良かっただろう。そこから、やはり公共放送は必要だとなり、改革の道が見えてきたかもしれない。
迷走の印象を与えたのは、NHKにとっても不幸なことだった。政府に頼らず、視聴者とNHK自身で改革の道をさぐるしかないということだろう。(隈元信一)




朝日新聞社
「知恵蔵2009」
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