走る・奔る
【はし・る】

[自][ラ四]ら/り/る/る/れ/れ
[1]速く移動する。速く行く。駆ける。
[例]「いたくもはしらせずして」〈今昔・二五・一二〉
[訳]「(どろぼうは盗んだ馬を)それほど走らせないで」
[2]逃げる。逃げ出す。
[例]「奴(やつこ)したがへりとて頼むべからず。そむきはしる事あり」〈徒然・二一一〉
[訳]「従者が(自分に)服従しているからといってあてにしてはいけない。逆らって逃げ出すことがある」
[3](水などが)飛び散る。ほとばしる。勢いよく流れる。
[例]「人などのあゆむにはしりあがりたる、いとをかし」〈枕草子・五月ばかりなどに〉
[訳]「人(=従者)などが歩くと(水が)飛び散ってはね上がったのは、たいへんおもしろい」
[4]胸がどきどきする。わくわくする。高鳴る。胸騒ぎがする。
[例]「胸つぶつぶとはしるに」〈蜻蛉・中〉
[訳]「胸がどきどきと高鳴るのに」

![]() | 東京書籍 「全訳古語辞典」 JLogosID : 5071619 |