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ほととぎす 鳴くや五月(さつき)の あやめ草 あやめも知らぬ 恋もするかな
【ほととぎすなくやさつきの】


〔〔和歌〕〕〈古今・恋一・四六九・詠み人知らず〉
[訳]「ほととぎすが鳴くよ、ほら、(それにまた)陰暦五月のあやめ草、そのあやめではないが、すじみちの通らない恋をすることであるなあ」
<参考>「ほととぎす」は五月の景物で、人恋しさをつのらせる鳥。「あやめ草」は節句に軒(のき)にふいたりした現在のサトイモ科の菖蒲(しょうぶ)で、同じく五月のものとして歌に詠まれる。「あやめ草」までが、すじみち、道理の意の「あやめ」を導く序詞。「恋もするかな(恋もするかも)」は、『万葉集』以来の恋歌の常套(じょうとう)表現。始まったばかりの恋愛をうたう、『古今和歌集』恋一の巻頭歌。




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5073056