100辞書・辞典一括検索

JLogos

47

持つ
【も・つ】


[他][タ四]た/ち/つ/つ/て/て


[1]手に取る。手にする。身につける。携える。所持する。
[例]「みづからは鉾(ほこ)をだにもたず、いきつき苦しむ有り様、いと見苦し」〈徒然・二二一〉
[訳]「自分では鉾さえ手にしないで、あえぎ苦しんでいるようすは、たいへん見苦しいことだ」
[2]自分のものとしている。所有する。
[例]「奢(おご)りを退けて、財(たから)をもたず、世をむさぼらざらんぞ、いみじかるべき」〈徒然・一八〉
[訳]「(人は)ぜいたくを避けて、財産を所有せず、世俗的なことに執着しないというのが、りっぱであるだろう」
[3]〔連用形で用いて〕用いる。使う。
[例]「◎あをによし奈良(なら)の山なる黒木(くろぎ)もち造れる室(むろ)は座(ま)せど飽かぬかも」〈万葉・八・一六三八〉
[訳]「◎奈良の山にある皮のついたままの材木を用いてつくった家はいつまでいらっしゃっても飽きないなあ」
<参考>用例中の「あをによし」は「奈良」にかかる枕詞。また、「座せ」は天皇が自分の行いを敬語で表した自敬表現。
[4]心にいだく。思う。
[例]「◎あしひきの山路越えむとする君を心にもちて安けくもなし」〈万葉・一五・三七二三〉
[訳]「◎山道を越えていこうとするあなたを心に思って、心が穏やかになることがありません」
<参考>用例中の「あしひきの」は「山」にかかる枕詞。
[5]保つ。維持する。
[例]「けやけき寿(いのち)もちて侍る翁(おきな)なりかし」〈大鏡・道長・下〉
[訳]「(私(=大宅世継(おおやけのよつぎ))は)特別な寿命を保っている老人ですよ」




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5080179