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思さる
【おぼさ・る】


((動詞「おぼす」の未然形+自発・可能・尊敬の助動詞「る」))[1]〔「る」が自発の場合〕自然に…お思いになる。お思いにならずにはいられない。
[例]「ほど経(ふ)るままに、せむ方なう悲しうおぼさるるに」〈源氏・桐壺〉
[訳]「(桐壺(きりつぼ)の更衣(こうい)の死から)時がたつにつれて、(帝(みかど)は)どうしようもなく自然に悲しくお思いになるので」


[2]〔「る」が可能の場合〕お思いになることができる。
[例]「ただかばかりのすさびにても過ぎぬべきことを、さらにさて過ぐしてんとおぼされず」〈源氏・夕顔〉
[訳]「ただそれだけの慰み事として終わってしまいそうな(夕顔との)ことを、(光源氏は)どうしてもそのまま終わらせてしまおうとはお思いになることができない」
[3]〔「る」が尊敬の場合〕お思いになる。
[例]「いみじうゆかしくおぼされければ」〈更級〉
[訳]「(姫君は)たいそう知りたいとお思いになったので」
<参考>平安時代には、多く[1]の意で用いられ、[2]の意は、下に打消の語を伴う場合に限られた。中世以降はほとんどが[3]の意になった。なお、[3]は「おぼす」も「る」も尊敬の意ではあるが、二重敬語という意識は薄く、ふつうの敬語表現として用いられた。




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5082525