きこえ-さ・す
【きこえ-さ・す】

<一>[他][サ下二]<二><補動>[サ下二]せ/せ/す/する/すれ/せよ
[他]《伝達》申し上げる。手紙を差し上げる▲→<一>
<補動>《謙譲》…し申し上げる。→<二>
▲謙譲の動詞「聞こゆ」の未然形に使役の助動詞「さす」が付いて、一語に変化した語。もとは、高貴な人に侍女などの第三者を介して申し上げさせる意であったが、後に直接申し上げる意にも用いられた。「聞こゆ」より敬意の高い謙譲語。
<一>(「言ふ」の謙譲語)申し上げる。手紙を差し上げる。
[例]「かたじけなくとも、かかるついでにまめまめしうきこえさすべきことなむ」〈源氏・若紫〉
[訳]「おそれ多くとも、このような機会に本気になって申し上げるべきことがございます」
<二>〔動詞あるいは動詞型活用の助動詞の連用形の下に付いて〕(謙譲)…し申し上げる。
[例]「よろしうだに思ひきこえさすべきことかは」〈枕草子・宮にはじめてまゐりたるころ〉
[訳]「並一通りにでもお思い申し上げてよいことではないのに」
<参考>動詞「聞こゆ」と使役の助動詞「さす」の二語から成る「聞こえさす」の形もあり、これは、申し上げさせる意の連語である。

![]() | 東京書籍 「全訳古語辞典」 JLogosID : 5098423 |