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45

うつつ
【うつつ】


[名]

▲形容詞「うつし」の語幹「うつ」が重なった「うつうつ」が変化したものと考えられている。もともとは夢に対する現実の意で用いられたが、中古に至って正気など細分化された意を表すようになった。さらに中世以降は「夢うつつ」と続けるところから誤って夢心地などの意でも用いられるようになった。


[1](夢に対して)現実。
[例]「◎君や来(こ)しわれやゆきけむおもほえず夢かうつつか寝てかさめてか」〈伊勢・六九〉
[訳]「◎あなたが来たのか私が行ったのか、判然としない。これは夢なのか現実なのか、眠っているのか目ざめているのか」
[2](死に対して)現に生きている身。現存。生身。
[例]「人の上にては、罪深うゆゆしきを、うつつのわが身ながら、さるうとましきことを言ひつけらるる」〈源氏・葵〉
[訳]「他人ごととして聞く場合には、罪深く不吉に思われるのに、現に生きている身であるわが身のままで、そういういとわしいことをうわさされる」
[3]意識の確かな状態。正気。
[例]「うつつにも似ず、猛(たけ)くいかきひたふる心出(い)で来て、うちかなぐるなど見え給ふこと度重なりにけり」〈源氏・葵〉
[訳]「正気とは異なった、荒々しく恐ろしいいちずな気持ちが起こって、乱暴に揺すぶったりするのをご覧になることがたび重なるのだった」
[4]夢か現実か分からない状態。夢心地。夢まぼろし。
[例]「一同に皆入興(じゅきょう)してうつつのごとくになりにけり」〈太平記・二五〉
[訳]「(『うまくも企てるものだな』と)いっしょにみな喜んで夢心地のようになった」




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5111308