初めてテレビに映されたのは何?

二〇〇三年は、テレビ放送が始まって五〇周年だそうです。ところで、テレビの仕組みがどうなっているのかと考えたことがある人も多いと思います。
実は、世界で初めてブラウン管による電子式受像に成功したのは、高柳健次郎という日本人です。
当時、テレビ研究の世界的な主流は機械式でしたが、高柳氏は将来的には電子式だけが成功すると信じ、あくまで電子式にこだわったといいます。一九二六年に初めてブラウン管に映し出されたのは、「イ」の字。しかもその「イ」は反転していたといいます。
高柳氏がテレビの研究を始めるきっかけとなったのは、フランスの雑誌に描かれていた未来のテレビの絵だったそうです。その後、一九二八年には人物を映し出す実験にも成功し、一九三九年にはNHKにて日本初のテレビジョン公開実験に成功したのです。
そして、「テレビの父」高柳健次郎が初めて「イ」という字を映し出してから三〇年近く経った、一九五三年(昭和二八年)の二月にはNHKテレビ、そして、八月には初の民放の日本テレビの放送が、始まったというわけです。
今、当たり前のようにテレビを毎日観られるのも「テレビの父」と呼ばれた偉大な日本人研究者がいたからこそです。

![]() | 角川学芸出版 「話を盛りあげる究極の雑学」 JLogosID : 5180164 |