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イヌルウシ
【いぬるうし】


(近世)江戸期から見える地名。西蝦夷地フルウ場所のうち。祈石とも書く。後志(しりべし)地方北部,積丹(しやこたん)半島南西部の日本海沿岸。海岸部は断崖。地名はアイヌ語のイヌンウシに由来するといい,「漁猟の仮小屋のある所」を意味する。また南側のホンイヌルウシは「漁猟の仮小屋の少しある所」を意味する(北海道蝦夷語地名解)。郷帳類には見えない。松浦武四郎「再航蝦夷日誌」に「イヌルウシ,番屋。図合船四,五艘懸るによろし。是よりも又山越道よろしと」とある。同「廻浦日記」には「ホンイヌルウシ,二八小屋有,岩岬廻り,イヌルウシ,両岸岩岬出て候間……小川有。傍二八小屋多し。又此辺蚫・海鼠・海栗・東海婦人多し」と見える。安政4年の「罕有日記」では「イノリ石(漁家一軒),此処海岸の総て巨巌陸続し頂には草生ひて遥望すれば連山の如し,近付き見れば奇態奇容毫端に写し難し」とある。明治2年後志国古宇郡に属す。同年神恵内(かもえない)村の一部となる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7000693