関谷洞穴
【せきやどうけつ】

縄文早期~弥生時代の洞穴遺跡。大船渡市日頃市町字関谷に所在。県史跡。洞穴のあるこの付近は,石灰岩の層で,古い層は3億数千年前のゴトランド(シルル)紀層である。昭和43年調査。洞穴内は8月下旬の晴天の日,外気温28℃のとき,30m地点で13℃,50m地点で12℃,湿度75%であった。洞穴の長さは94m地点まで測量,それより奥は未調査。内部には南北約18m,東西約22mの広い場所があるが,落盤が多くみられる。地層は表土を除き文化層が第9層まで判明。それ以下は落盤の危険があるため未調査。土器は第9層の縄文早期の貝殻文土器をはじめ,第8・7層は早期,第6層早期末~前期初頭,第5層前期,第4層中期,第3層後期,第2層晩期,第1層弥生~土師器時代の遺物が出土。石器は石斧・石槍・石匙・石皿・敲石など。骨角牙貝類は貝輪・骨針・装身具類。自然遺物は貝類がオオノガイ・ハマグリ・アサリなど12種,獣骨類はニホンジカ・イノシシ・クマ・キツネ・テンの5種,人骨が第2層(縄文晩期)から攪乱された状態で出土している。第8層から川原石を円形に置いた炉跡が発見されている。当洞穴は層位的に遺物の変遷を明確に追うことができること,また豊富な自然遺物から盛んな狩猟活動について推定できる洞穴遺跡として貴重である。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7015065 |





