蔵王温泉①
【ざおうおんせん】

最上高湯・高湯温泉・蔵王高湯ともいう。村山地方,山形市大字蔵王温泉にある温泉。国鉄奥羽本線山形駅の南東10km,蔵王火山北西の標高900m,長径3.5kmの馬蹄形の高湯爆裂火口の底部に位置する。古来奥羽三高湯の1つに数えられた。宿泊施設数59・収容人員1万人,入込客数195万3,000人で,冬季が50%,春季が6%の冬季型の温泉地(昭和52年)。温泉の発見は日本武尊の臣吉備多賀由によると伝えられる。地内の酢川温泉神社は貞観15年に従五位下を授けられている(三代実録)。温泉街は,在来の旅館・土産品店・食堂などの旧温泉街とその南のホテル・保養所・食堂などの新温泉街に区分できる。かつては出羽三山に参詣した行者が,東の御山と呼ばれた蔵王山に参詣して仙台側へ出る途中の休息場として栄え,17軒の固定した旅館と湯女置屋があった。夏季は近隣農村からの湯治客でにぎわい,昭和10年には4万5,360人の入込客数の73%が夏季で,子どもの湯として名が高かった。昭和22年県立公園に指定され,同25年に東京毎日新聞社の「全国観光地百選山岳の部」の第1位になってから,外来資本家の蔵王進出の計画が増えた。百選の第1位に選ばれたことを記念して堀田村を蔵王村に,高湯温泉を蔵王温泉に,金井駅を蔵王駅に改め,同31年12月山形市に編入。スキーリフトが最初に設営されたのは昭和26年で,その後国有地の蔵王山中腹にリフト・山小屋を建設,三度川河畔から地蔵岳鞍部へのロープウエーも開業して,スキーやハイキングに利用されている。源泉総数は32で旧温泉街内・一度川(神通川沢)・二度川(蛇荒沢)・三度川(湯左の沢)の4つに分けられ,総量毎分4000ℓで県内で一番多い。二度川・三度川は泉温も高く,ホテルや保養所に引湯されている。泉質は,大湯共同浴場源泉が含硫化水素強酸性明礬緑礬泉,湯左の沢源泉は強酸性硫化水素泉。水虫・慢性膿皮症・リューマチ性疾患・慢性湿疹・体質改善などに効用があるとされる。蔵王国定公園の表玄関にふさわしく観光道路蔵王ラインや蔵王エコーラインと結ばれ,松島・裏磐梯を結ぶ国際観光ルートの基地で,スキーや樹氷観賞・ハイキングなど県内で観光客数第1位になっているが,通年型の観光地への転換が大きな課題である。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7025119 |





