栃尾城
【とちおじょう】

大野城ともいう。栃尾市大野に位置する中世の山城。標高227m。県史跡。険しい山稜と深い谷を巧みに利用して築城。主郭は幅9m・長さ57mで,中央に石祠がある。主郭の裏側に野面積石垣が鉢巻状に巡る。狼煙台・千人溜・馬場・馬つなぎ場・井戸などの戦国末期遺構が残る。南北朝動乱期,下野の武将芳賀禅可が一時,当城に立てこもったと伝える。室町期,古志長尾氏の家臣が在番。天文14年,14歳の上杉謙信は兄晴景の名代として栃尾城に入った。近隣の豪族達が謙信を若輩と侮り,攻撃を仕掛けてきたが,謙信は城代本庄実乃らの補佐で敵を撃退し初陣を飾った。同17年12月30日,謙信は栃尾城から春日山城に入り,守護代長尾家を相続した。天正6年の御館の乱の際,本庄秀綱は上杉景虎に味方したため,上杉景勝に攻められ,同8年4月落城。以後,景勝の臣宮島三河守将監・清水蔵之助らが城代を務めた。慶長3年堀秀治の臣神子田政友が1万石で入城したが,同15年堀家の改易とともに廃城となった。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7075876 |