天平寺
【てんぴょうじ】

鹿島郡鹿島町石動山(せきどうさん)所在。真言宗。山号は石動山。本尊は虚空蔵菩薩。開山については,泰澄・法道・智徳などの諸説があるが,開基・創建年次等はいっさい不明。伊須流岐比古神社の別当寺として,石動山山頂(標高561m)を中心に,坊院360余坊,加賀・能登・越中・越後・佐渡・飛騨・信濃7か国からの知識米4万3,000石余,衆徒3,000人余を擁する修験の拠点として栄えたという。建武2年に兵火に遭い,天正10年にも前田利家に焼き払われたが,同19年11月に大呑沢野のうち100俵の地を寄進して復興を許し,5代藩主前田綱紀は慶安5年9月15日に100石を加増している(加賀藩史料)明治の神仏分離で,廃絶。旧寺地は国史跡の石動山遺跡。なお古代・中世の呼称は石動寺(いするぎでら)であり,「天平寺」の僭称が登場するのは戦国期の文明16年12月15日の中御門宣秀御教書案(宣秀五位蔵人御教書案)が最初である。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7088459 |