100辞書・辞典一括検索

JLogos

50

関東山地
【かんとうさんち】


県の北部から東部にあって,関東地方の西部と中部地方の東部にまたがる山地。東京・山梨・埼玉・群馬・長野・神奈川の1都5県にまたがり,面積約5,500km(^2)。県内における当山地は,秩父山地と呼ばれる山域で,東は東京都・埼玉県・本県の境界をなす雲取山(2,017.7m)から西に,主要な山として飛竜山(2,069.1m)・竜喰(りゆうばみ)山(2,011.8m)・唐松尾山(2,109.1m)・笠取山(1,941m)・枯礼(これい)山(2,112.1m)・雁坂嶺(2,289.2m)・破風(はふ)山(2,317.6m)などが連なる。長野県・埼玉県・本県の境界の甲武信岳・国師ケ岳・朝日岳(2,581m)・金峰(きんぷ)山・小川山(2,418.3m)・瑞牆(みずがき)山(2,230.2m)など2,000mを超す山嶺が西にのび,国師ケ岳からは,南に北奥仙丈岳(2,600m)・奥仙丈岳・黒金山・乾徳山(1,764.1m)の山嶺が,笛吹川東部には,笠取山・飛竜山を結ぶ山嶺から,石保戸(いしほと)山(1,672.8m)・倉掛山(1,776.7m)・大菩薩嶺(2,056.9m)・小金沢山(2,014.3m)・牛奥ノ雁腹摺山(約1,985m)・黒岳(1,987.5m)が南にのびて御坂(みさか)山地の笹子山塊に続くものと,丹波山(たばやま)山地の丹波天平山(1,342.9m)・鹿倉山(1,288.2m)・向山(1,077.8m)などが南にのびて東京都との境界山域となっている。構成する地質は,東部は古第三紀とジュラ紀の四万十統の小仏層群を主に,瀬戸川層群・三倉層群で構成される。中部から西部は新第三紀の中新世の花崗岩などで構成される。本県と長野県の県境をなす当山地の主脈の南には,茅ケ岳(1,703.5m)・金ケ岳(1,760m)・太刀岡山(1,295m)・曲岳(1,642.4m)・水ケ森(1,553.1m)などの古い火山山地がある。これらの山域には,東から将監(しようげん)峠・雁峠・雁坂峠・大弛(おおだるみ)峠・朝日峠・信州峠が本県と長野・埼玉県を結ぶ。このうち大弛峠と信州峠は車道,雁坂峠は人道となっている国道140号の峠である。山域の高原には東から乙女高原・木賊(とくさ)平・富士見平・金山平などがあり,温泉では,日川渓谷の嵯峨塩鉱泉・増富温泉・黒森鉱泉などがある。周辺は昭和25年指定の秩父多摩国立公園の地域。沢筋には林道が奥地までのび,スカイライン構想もある。山地西部の金山平には奥秩父開発の父木暮理太郎の碑がある。小袖の鍾乳洞,大島の灰長石,竹森のザゼンソウ,牧丘の千貫岩,木賊平のエゾリンドウ,金山沢のハシドイ林,嵯峨塩のオオバボダイジュ・モイワボダイジュ・ハルニレなどは県の自然記念物。ほかに小金沢渓谷景観保存地区,小金沢土室自然保存地区,小金沢山自然保存地区,竜門峡景観保存地区,岩殿山歴史景観保全地区,滝子山自然保存地区,大滝不動尊景観保存地区,塩の山・山梨岡歴史保全地区。三窪のレンゲツツジの生育地。乙女高原自然活用地区,小楢山景観保存地区,荒川上流カジカガエルの生息地,紅葉橋景観保存地区がある。関東山地西部茅ケ岳火山には観音峠茅ケ岳景観保存地区,ホッチ峠のマンジュウ石などがある。金峰山や大菩薩連峰は文学的にも登山地としても有名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7096686