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猿橋
【さるはし】


桂川に架かる桁橋。大月市猿橋町猿橋にある刎木橋。木曽の桟橋,周防の錦帯橋とともに三奇橋といわれる。新富士山の古期溶岩流が桂川の谷を下って当橋にまで達し,その溶岩を浸食した深い谷に架かる。橋の長さ32m,幅5.5m,水面からの高さ31m。谷が深く橋脚がたてられないので両岸から3本の刎木が4段に長く重ねられ,各刎木の一方の端は地中に埋め込まれており,刎木全長のほぼ2分の1が斜め上に突出している。刎木の先には枕梁を乗せて,その上の刎木を支え,互いに支えあいながら次々に差し出され,両岸から相対した最上部の刎木の上に大きな橋桁を架して連絡する。橋梁技術上からもまれな構造である。昭和7年3月,猿橋とその付近が国名勝として指定された。伝説によれば推古天皇の時代,百済国から来た志羅呼僧円が何匹ものサルがつながって対岸に渡るのを見て,これにならい架橋したという。木橋なので老朽化して何回も架替えをしている。古くは,永正17年領主小山田信有が架け替え,天文2年の焼失で同9年新造,明治期以降は明治33年・昭和26年それぞれ架け替え,現在架替工事が進み昭和59年完成予定。架設に際しては旧来の形式が厳格に保持されてきた。甲州街道が通じるので,江戸期には荻生徂徠の「峡中紀行」などで広く紹介され,安藤広重・葛飾北斎の浮世絵に描かれ,俳句・和歌・漢詩などにも詠まれて著名となった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7097103