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藤野木
【とうのき】


旧国名:甲斐

藤之木・藤ノ木とも書いた。甲府盆地の東端で,御坂(みさか)峠に向かう山中に位置する。地名の由来は,フジの木が多く自生していたことによるという。律令期,地内を官道である御坂路(御殿場―籠坂峠―山中―河口を経て御坂峠を越え,水市~国府へ至る)が通ったが,難路であったため「甲斐人の嫁にはならじ事辛し,甲斐の御坂を夜や越らむ」(承徳本古謡集)と詠まれた。鎌倉幕府の成立に伴い,御坂路は幕府に向かう要路として,鎌倉街道と呼ばれた。武田家滅亡後,甲斐をめぐって,徳川氏と北条氏が争う。北条氏忠勢は,峠付近にあった御坂城の要害を固め,藤ノ木から上黒駒に撃って出たが,徳川の部将鳥居元忠らは寡兵で氏忠軍を撃破。北条勢の戦死者は,2,067人余を数えた。
藤ノ木村(近世)】 江戸期~明治22年の村名。
藤野木村(近代)】 明治22~25年の東八代郡の自治体名。
藤野木(近代)】 明治25年~現在の大字名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7097724