100辞書・辞典一括検索

JLogos

52

江月輪中
【えつきわじゅう】


養老郡養老町北東部にある輪中。北側・東側を杭瀬(くいぜ)川に,西側を小畑川に,南側を牧田(まきだ)川に囲まれていて,完全な懸廻堤をもつ輪中。西北は,堤を境にして祖父江(そぶえ)輪中に接する。堤内には上江月・下江月の集落がある。「濃州徇行記」は江月村について「此村は前廉は水落あしく,卑湿の地にして,田実らず,過半は真菰生なりしが,村民艱難にたへずして水落御普請の事を願ふといへども,叶はざるにより,頭百姓共四五人の工夫を以て,牧田川に伏越樋を自普請に伏込,悪水落江を烏江村の地を借て掘割,末は烏江の水落江通へほりつき,それより両村立合にて金草川を伏越,栗笠・舟付村の地を借て掘割,大野村の北にて伊尾川へ悪水を落せり。此普請は天明四辰年成就す。其以来江月村水落よくなり終に豊饒の地となれり」とあり,その時の江筋の村々との証文も残っている。この落江は昭和35年笠郷地区の土地改良の際,廃止されて田となった。かくてこの輪中の懸廻堤は天明4年以前に完成していたとみられる。なお,江月は寛永年間に開発された(養老町史通史編上)が,当初は杭瀬川や牧田川の形成した自然堤防の微高地を中心に開拓したものといえる。西側の向野地区には約30万m(^2)の牧田川・杭瀬川・小畑川の遊水地があったが築堤され,同46年に県立大垣農業高校が移転してきた。宅地は牧田川左岸堤および杭瀬川右岸堤に帯状に連なっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7104796