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人穴溶岩
【ひとあなようがん】


富士山西麓,富士宮市人穴一帯から朝霧高原の南方にかけて分布する新富士火山系の玄武岩質の溶岩流で,犬スズミ溶岩流ともいう。寄生火山の犬スズミ山(1,205.7m)から噴出し,西方山麓の人穴方面に流下したもので,新富士火山の噴出物の中では旧期玄武岩溶岩に属する。人穴付近には三ツ池穴(長さ750m)・姥穴(同170m)・新穴(同100m)・人穴(同70m)など大型の溶岩洞穴(溶岩トンネル)が知られているが,そのうち三ツ池穴は富士山の溶岩トンネルの中では最大の規模を誇る。また人穴は「吾妻鏡」「北条記」にもその名の見える著名な洞穴で,富士講の開祖角行真人が洞中で修法したところとしても知られ,洞口近くに角行の墓および富士講先達の多くの寿碑がある。溶岩上の広見・人穴などの集落は,主として第2次大戦後に開拓入植したもので,ここから北方の富士丘にかけては大規模な放牧酪農地域となっている。溶岩流の末端すぐ西方には,猪之頭(いのかしら)の集落と県立の富士養鱒場とがある。人穴の名は「太穴の訛か,人類栖址の意にはあらず」(地名辞書)という。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7113855