道徳新田村
【どうとくしんでんむら】

旧国名:尾張

(近世)江戸期～明治11年の村名。尾張国愛知郡のうち。山崎川下流域に位置する。又兵衛新田の北に開発された新田で，当初は戸部下前新田・御替地新田と称した。文化９年戸部下前新田を道徳新田と改称（徇行記）。享保13年天白川の流れを山崎川に合流させたが，その後たびたび堤防が決壊するため，井戸田村の庄屋らが尾張藩に願い出て流路を元に戻した。この時天白川の下流天白古川新田がとり潰され，その替地として寛保元年から開墾に着手されたのが当新田である。尾張藩領。鳴海代官所支配。一円蔵入地。村高は，「天保郷帳」207石余，「旧高旧領」では道徳新田213石余。寛保２年地内40町が名古屋赤塚町の商人嘉兵衛に譲り渡された。延享３年検地が行われた。「尾張志」には，「戸部下新田の西，名古屋より二里半南にあり」と見える。「徇行記」によれば，当新田は離見取20町余（田12町余・畑８町余・葭生１反余），年々見立定納（もと定納米37石）とある。北側堤防沿いに神明社がある。開発当初の頃のもので，地元では御替地神社と呼ばれている。社内には円空作の竜神像が安置されている。雨乞のために荒古から迎えた像と伝承される。明治11年豊田村の一部となる。現名古屋市南区豊田１丁目・豊田町にあたる。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7120735