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志摩半島
【しまはんとう】


県の南東部にある半島。紀伊半島東端に位置し,半島の全域は伊勢志摩国立公園に属す。北は伊勢湾,東と南は太平洋(熊野灘)に面し,国崎(くざき)・安乗(あのり)崎・大王(だいおう)崎に代表される荒波に削られた荒々しい海岸線をなし,一方,鳥羽湾・的矢湾・英虞(あご)湾などの内海は波静かな入江で,リアス式海岸特有の複雑な海岸線をなしている。半島の地形は,的矢湾北部の浅間山(201m)と阿児(あご)町の横山(203m)を結ぶ旧海岸線以南が隆起海食台地で,その後開析された谷が再び沈降して数多くの溺れ谷をなしたものである。台地面は30~50mの小丘陵が続き,ところどころに開析谷の低地がみられる。一方北部は,壮年期山地である紀伊山地の東端が沈水してリアス式の海岸をなし,鳥羽湾口に浮かぶ島々は2条の島列となって愛知県渥美(あつみ)半島に続いている。これらの島々はすべて秩父古生層からなり,南部の台地は中生代の砂岩・泥板岩からなる的矢層が基盤をなしている。気候は温暖で,紀南や南四国に似て冬の気温が高い。霜や氷を見ることは少なく,雪もまれにしか降らず,暖地性植物のハマユウが南部の前志摩(さきしま)半島に自生している。水産業が盛んであったことは古くから「島の速贄(はやにえ)」(古事記),「御食国(みけつくに)志麻」(万葉集)として聞こえ,漁業の原始型ともいうべき「志摩の潜女(かづきめ)(海女)」が知られた。半島の北部は山がちで耕地が少なく,南部は海食台地に畑が広がり,麦や甘藷が中心で稲作は少ない。古くから海女漁業が盛んで,答志・国崎・安乗・和具などは,その中心として知られてきた。熊野灘に面し,大王崎の灯台で知られる波切は,沿岸漁業の中心で近海カツオの水揚げが多く,英虞湾口の浜島は遠洋漁業の基地であり県水産試験場がある。一方,リアス式の入江における水産養殖も盛んで,的矢湾の無菌カキや英虞湾を中心とした真珠養殖が知られている。四国や九州に新漁場が開けた現在,生産高は全国の5分の1と低下したが,真珠の故郷としての志摩の名は高い。明治44年国鉄参宮線が鳥羽まで開通し,伊勢・二見・鳥羽を結ぶ観光ルートが確立したが,鳥羽を玄関とした志摩地方の本格的な発展は,昭和21年伊勢志摩国立公園に指定されてからである。「真珠と海女の国」をキャッチフレーズに鳥羽を起点とした陸上・海上の交通機関,国道167号・260号の改修・伊勢志摩スカイライン開通(昭和39年)・伊勢道路開通(昭和40年)・パールロード開通(昭和48年)・近鉄特急の賢島乗入れ(昭和45年)・伊勢湾フェリー就航(昭和39年)などが整備され,各地の観光開発が進められた。特に近年は,的矢湾・英虞湾・前志摩半島などの奥志摩の発展が著しく,阿児町鵜方(うがた)を中心に安乗・大王・前志摩方面への道路網の整備,英虞湾頭の賢(かしこ)島から和具・御座・浜島への定期船のほか,湾内遊覧船が発着しにぎわっている。




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「角川日本地名大辞典」
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