千尋の浜
【ちひろのはま】
歌枕。五十鈴川の河口,二見町江(え)から神前(こうざき)岬にかけての浜。夫婦岩の東方(享保年中宮川以東神領之図)。「くくり島の向ひ,飛鳥の前の海を千尋の浦とも浜とも云ふ」(伊勢名所拾遺集)とし,「勢陽五鈴遺響」も同様の指摘をする。「千尋の海」辺の浜の意か。斎宮関係詠にもよく見られる(長久元年斎宮良子貝合・斎宮集)。「伊勢の海の千尋の浜に拾ふとも今はなにてふかひかあるべき」(後撰集,敦忠)。「和歌初学抄」は伊勢国,「五代集歌枕」は紀伊国とし,「八雲御抄」「謌枕名寄」は紀伊・伊勢を並記する。
![](http://jlogos.com/images/hyoshi/ktim.jpg) | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7127851 |