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天保山の渡し
【てんぽうざんのわたし】


安治川河口にある渡し。大阪市港区天保山(築港3丁目)と此花(このはな)区桜島3丁目を結び,市道天保山渡船場線の道路指定を受ける。全長330m。明治38年港湾振興策の一環として始められ,天保山を基点にするところから名づけられた。当時は天保山・桜島・築港大桟橋を三角運行し,のち木津川方面まで運航区域を拡大したが,昭和元年には現在のルートのみとなる。大正11年の内航客船用天保山桟橋完成により天保山~桜島間を終夜運行して船客の便宜をはかり全盛期を迎えた。昭和初期には桜島付近の重工業地域化が進んで通勤用としても利用されていた。昭和12年12月1日午後9時ごろ渡船が突風にあおられて転覆,軍需工場帰りの乗客ら53人の犠牲者を出す事故があった。昭和45年にはまだ1日平均1,300人の通行量があったが近年は減少し,同54年現在では,朝夕は1時間4回,昼間は1時間2回の運航で1日平均800人程度が利用している。なお,天保山は貞享元年の安治川開削と天保2年の河底大浚渫工事の土砂を積み,高灯籠を置いて出入船舶の目印とした。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7151765