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長洲
【ながす】


旧国名:摂津

武庫(むこ)平野東部,庄下川左岸に位置する。地名は,奈良期に猪名荘の南に長い州浜が形成されたことによる。当時潮の干満によって出入する砂州が見られたと思われる。歌名所に数えられ,多くの歌に詠まれている。例えば,「世の憂きを思ひながすの浜ならば我さへともに行くべきものを」(平中物語)。民部卿為家の「わが袖の海となるをは津の国のながす涙のつもりなりけり」(夫木集巻23)。「相模集」には「津の国の難波のことも思はずて長洲に遊ぶ鶴の世を知れ」とある。また,長洲白浜の景色は「宇津保物語」でも見学すべき名所として記されている。延喜元年九州大宰府に左遷された菅原道真が下向の途中潮待ちのため当地に1泊したと伝えられ,道真にちなむ長洲天満社が戦国期以降奉祀されている(本殿は一間社流造)。また道真一行は一番鶏で出立することになっていたが,鶏を夜明前に鳴かせたため早立ちした言伝えから,当地では鶏を飼育しない風習があった(尼崎市史10)。
長渚(古代)】 奈良期から見える地名。
長洲(中世)】 平安末期から見える地名。
長洲村(近世)】 江戸期の村名。
長洲村(近代)】 明治16~22年の村名。
長洲(近代)】 明治22年~昭和61年の大字名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7161331