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国道
【こくどう】


 国道24号 京都市を起点とし和歌山市に至る国道。総延長152.9km。県内実延長58.9km。県内へは京都府木津町から奈良市へ入り,奈良市から大和郡山市―橿原(かしはら)市―大和高田市―北葛城郡新庄町―御所(ごせ)市を通過して五條市釜窪町から和歌山県橋本市に至る。建設省直轄国道路線。京都から木津を経て奈良坂を越え奈良に至る京街道を踏襲するもので,明治18年国道49号に編入され,大正9年国道15号に認定,昭和7年京都府界~橿原市畝傍町間約25kmの改良工事に着手,同15年工事が完了し,当時県下唯一の長距離舗装道路となった。同27年1級国道24号となり,同40年一般国道に指定。奈良県を南北に縦断する主要幹線道路で,同61年7月の昼間交通量は奈良市杏町で3万3,078台,大和郡山市横田町で2万3,419台,橿原市曲川町で1万9,995台。昭和52年奈良市内の交通混雑解消のため計画された奈良バイパス(延長14.21km)が全面開通し,元の木津~郡山間のルートは県道木津横田線になった。また奈良バイパスに続けて橿原バイパス(延長13.8km)が計画され,そのうち5.74kmが同59年部分開通している。一方,五條市街地の混雑解消のため五條バイパスが計画されている。 国道25号 三重県四日市市を起点とし大阪市に至る国道。三重県亀山市の亀山インターチェンジ~天理市櫟本町の天理インターチェンジ間は名阪国道(自動車専用道路)と称され,この区間は新旧2本の路線が並走する。総延長251.3km。県内実延長84.4km。重用延長2.8km。昭和27年1級国道に指定された当時の路線は大阪市を起点とし北葛城郡王寺町で県内に入り,大和郡山市横田町で国道24号に合流し奈良市に至るものであった。同37年2級国道163号のうち四日市~上野間と主要地方道天理上野線をあわせ1級国道に昇格,従来の大阪~奈良間のうち大阪~天理間をあわせて国道25号に指定,同40年一般国道となった。亀山~天理間は全線未改良であったため,昭和38年から改良工事が始まり,同40年名阪国道が開通した。名阪国道および天理市川原城町~北葛城郡王寺町間は建設省直轄国道路線。その他は県管理国道路線。名阪国道以外の国道25号は三重県上野市から山辺郡山添村遅瀬に入り,同郡都祁(つげ)村,天理市と大和高原上の集落を連ねて奈良盆地に降りてくる。天理市嘉幡町~大和郡山市横田町間は国道24号と重用。大和郡山市を西進し生駒郡斑鳩(いかるが)町,同郡三郷町を経て王寺町に入り大和川沿いに関西本線と並走し,府県境の亀ノ瀬峡谷より大阪府柏原市に入る。亀ノ瀬峡谷付近は古代より大和と難波を結ぶ幹線であった竜田越奈良街道が通り,また明治25年の鉄道開通前まで約300年にわたり大和川の水運も利用され,交通の要衝であった。昭和61年7月の昼間交通量は大和郡山市筒井町で1万6,566台,王寺町藤井で1万432台。王寺駅前の交通混雑の解消を図るため王寺町本町~同町元町間1.06kmのバイパス工事に昭和60年着手し,同62年完成。県内舗装率100%,改良率73.1%。 国道163号 大阪市を起点とし三重県上野市に至る国道。総延長79.7km。県内実延長8.5km。建設省直轄国道路線。県内へは生駒市北田原町から入り,高山町―鹿畑町と東進し,京都府精華町に至る。近世の清滝越―高山―前田を踏襲する。昭和28年2級国道大阪四日市線に指定され,同40年一般国道となった。同61年7月の昼間交通量は生駒市北田原町で1万2,746台,同市高山町で9,840台。住宅地開発の進む県北部と大阪市を結ぶ幹線道路である。 国道165号 大阪市を起点とし三重県津市に至る国道。総延長134.0km。県内実延長43.4km,重用延長4.5km。県内へは香芝市田尻から入り,大和高田市今里に至り,ここから橿原(かしはら)市八木までは国道24号と重用。ここまでの区間は建設省直轄国道路線。橿原市からさらに桜井市―宇陀郡榛原(はいばら)町―同郡室生村三本松を経て三重県名張市に入る。この区間は県管理国道路線。当国道は初瀬街道と青越伊勢街道を踏襲する。昭和28年2級国道大阪津線,同40年一般国道に指定。165号が国道24号と重用する橿原市八木地区の交通渋滞は激しく,その解消のため同41年同市膳夫町から同市五井町まで,橿原バイパスが計画されたが,ルートに藤原宮跡があり,文化財保護の観点から立消えとなった。その後橿原市市街地と大和高田市市街地の交通混雑解消をめざして,橿原市四条町から香芝市穴虫に至る延長14.14kmの大和高田バイパスが計画され,同48年工事に着手。同57年橿原市道曲川常門線から国道24号大和高田市曽大根間2.97kmが暫定供用された。同61年7月の昼間交通量は,香芝市田尻で1万3,447台,大和高田市大谷で1万783台。県内舗装率,改良率ともに100%。 国道166号 大阪府羽曳野市を起点とし三重県松阪市に至る国道。総延長139.8km。県内実延長44.4km,重用延長10.8km。県管理国道路線。県内へは大阪府太子町から竹内峠を越え北葛城郡当麻(たいま)町竹内に入り,大和高田市―橿原(かしはら)市―桜井市―宇陀郡大宇陀町―同郡菟田野町―吉野郡東吉野村を経て,同村杉谷で高見トンネルにより三重県飯高町に至る。大和高田市旭北町から桜井市外山までは国道24号・国道165号と重用。当国道は古代大和と難波を結ぶ竹内街道(初瀬街道)と高見越伊勢街道を踏襲する。昭和28年県道より2級国道大和高田松阪線に昇格し,同40年一般国道に指定。同50年主要地方道大和高田富田林線が国道166号に昇格し延伸された。当国道は大阪南部地域と三重県中勢地域を結ぶ幹線であるが,奈良・三重県境付近は未改良であり,落石,地すべり,冬期の積雪による通行の危険を伴う。このため昭和44年より奈良県側3.74km,三重県側11.05kmにわたって一次改築が行われ,県内は同59年に3.588kmが供用された。同59年には高見トンネルが開通し,これにより標高900mの高見峠を上り下りする難所は解消された。同61年7月の昼間交通量は当麻町竹内で3,110台,国道370号と接する大宇陀町内原で,6,296台であるが,三重県に接する東吉野村杉谷では379台と利用度は低い。県内舗装率76.3%,改良率72.9%。 国道168号 和歌山県新宮市を起点とし大阪府枚方市に至る国道。総延長193.6km。県内実延長118.8km,重用延長23.3km。県内へは和歌山県本宮町から吉野郡十津川村七色に入り,十津川峡谷に沿って同郡大塔村へとさかのぼり分水嶺の天辻峠を新天辻トンネル(1,174m)で貫いて,同郡西吉野村に入り,永谷川・丹生川に沿って五條市に降りる。同市五條町1丁目~大和高田市今里間は国道24号と重用。大和高田市今里~同市旭北町は国道165号と重用。同市旭北町~北葛城郡当麻(たいま)町長尾までは国道166号と重用。さらに香芝市―王寺町を走り,王寺町王寺~生駒郡斑鳩(いかるが)町竜田までは国道25号と重用する。そののち,竜田川に沿って同郡平群(へぐり)町―生駒市と生駒谷を通り,生駒市北田原町を経て大阪府交野市に入り枚方市で国道1号に接続する。県管理国道路線。新宮から五條までは西熊野街道を踏襲する。大正12年県道に指定。昭和28年2級国道新宮大和高田線に昇格したが,和歌山県境付近は自動車交通不能の山道であった。改良事業は昭和34年8月竣工。また天辻峠の難所も同年新天辻トンネルの開通により解消された。これにより168号は紀伊半島の山間部を縦断し熊野地方と奈良盆地を結ぶ幹線となった。同40年一般国道に指定。昭和57年主要地方道枚方大和高田線の一部,同大和高田王寺線,同御所香芝線の一部が合同して国道168号として昇格し大阪府枚方市にまで延伸された。同61年7月の昼間交通量は山間部の十津川村上野地で653台,大塔村阪本で936台,奈良盆地では香芝市鎌田で9,095台,生駒市一分町で1万2,787台,同市南田原町で7,290台であり,北大阪へぬける主要路線となっている。県内舗装率59.9%,改良率57.0%であり,山間部ではなお未改良部分も多い。 国道169号 和歌山県新宮市を起点とし大和高田市に至る国道。総延長171.7km。県内実延長100.6km,重用延長4.2km,未供用延長2.9km。県管理国道路線。県内へは三重県熊野市神川町福山瀬から吉野郡下北山村下桑原へ入り,北山川に沿って同郡上北山村,新伯母峰トンネルを経て吉野川の谷ぞいに同郡川上村―同郡吉野町―同郡大淀町と進み,大淀町土田交差点で吉野川から離れ北進して高市郡高取町―同郡明日香村―橿原(かしはら)市に至る。同市四条町から大和高田市北片塩町までは国道24号と重用。吉野町宮滝から下北山村下桑原までは東熊野街道を踏襲する。明治33年県道,昭和28年2級国道新宮木ノ本大和高田線になり,同40年一般国道に指定。同年新伯母峰トンネルが開通し,距離・時間ともに大幅に短縮された。昭和61年7月の昼間交通量は,上北山村河合で847台,下北山村池原で1,300台,高取町観覚寺で1万1,240台,橿原市四分町で9,608台と利用度は高い。県内舗装率74.5%,改良率69.6%。 国道308号 大阪市を起点とし奈良市に至る国道。総延長31.9km。重用延長0.8km。県内実延長13.3km。県管理国道路線。県内へは生駒市西畑町の暗峠を越えて入り,同市小瀬町の近鉄生駒線南生駒駅南で国道168号と交差し,東進して奈良市中町に入り,主要地方道枚方大和郡山線を横切り,さらに東進して同市三条大路2丁目で国道24号に接続する。暗越奈良街道を踏襲。同街道は道幅が狭く奈良県側は暗峠から500mが小型車のみ通行可能で,明治期に県道に指定。昭和45年主要地方道大阪枚岡奈良線の一部,主要地方道奈良大和郡山斑鳩線の一部,県道小瀬砂屋線を合わせて国道に昇格。県内舗装率26.9%,改良率9.3%。昭和61年7月の昼間交通量は,暗峠周辺が大型車通行不能のため生駒市小瀬町で137台と少ないが,奈良都心部の奈良市三条大路5丁目で8,747台に達する。 国道309号 三重県熊野市を起点とし大阪市に至る国道。総延長143.5km。重用延長34.9km。県内総延長104.6km。重用延長28.2km。実延長54.2km。吉野郡上北山村西原の天が瀬から同郡天川村北角の弥山川が川迫川に流入する地点までの22.2kmは未供用部分。県管理国道路線。県内舗装率29.5%,改良率33.0%。県内へは吉野郡下北山村下桑原の県境から国道169号と重用して入り,同郡上北山村西原で169号から分岐し,同郡天川村―同郡西吉野村―同郡黒滝村―同郡下市町を経て御所(ごせ)市関屋の水越峠を越えて大阪府千早赤阪村に至る。御所市から河南町(大阪府)をへて富田林市までは富田林街道を踏襲。昭和45年主要地方道富田林大淀線および同大淀上北山線の一部が合同して一般国道に昇格。同61年7月の昼間交通量は御所市豊田で3,248台。 国道310号 大阪府堺市を起点とし五條市に至る国道。総延長39.9km。県内実延長9.2km。県管理国道路線。大阪府河内長野市から金剛トンネルを経て五條市大沢町に入り,同市五條1丁目で国道24号に接続する。大沢街道を踏襲し,昭和45年主要地方道河内長野五條線から一般国道に昇格。同61年7月の昼間交通量は五條市中之町で1,582台。県内舗装率100%,改良率54.6%。 国道311号 三重県尾鷲市を起点とし和歌山県上富田町に至る国道。総延長196.6km。県内実延長2.6km,重用延長0.4km。県管理国道路線。和歌山県熊野川町飛地から吉野郡十津川村竹筒に入り,169号と重用(0.4km)して和歌山県熊野川町に至る。昭和45年県道清争公園線から一般国道に昇格。同61年7月の昼間交通量は十津川村竹筒で120台。県内舗装率3.8%。 国道368号 三重県上野市を起点とし同県勢和村に至る国道。総延長81.4km。県内実延長3.4km。三重県美杉村から宇陀郡御杖(みつえ)村神末に入り,再び美杉村へぬける。県管理国道路線。昭和50年主要地方道名張飯南線から一般国道に昇格。県内舗装率100%,改良率29.2%。 国道369号 奈良市を起点とし三重県松阪市に至る国道。総延長129.8km。県内実延長85.0km,重用延長2.6km。県管理国道路線。奈良市の二条大路南一交差点から市役所―奈良郵便局―近鉄奈良駅―奈良地方裁判所―県庁前を通る奈良市のメーンストリート。さらに同市の般若寺町―柳生町―水間町―杣ノ川町を通り,山辺郡都祁(つげ)村に入り,同村針で名阪国道針インターチェンジと交差する。ついで宇陀郡の榛原(はいばら)町―室生村―曽爾(そに)村を通過して同郡御杖(みつえ)村神末で国道368号と重用し,三重県美杉村に入る。昭和50年主要地方道奈良大和郡山斑鳩線・県道木津横田線・主要地方道奈良津線・主要地方道榛原笠置線・県道邑地榛原線の各一部および主要地方道久居家城榛原線が合同して一般国道に昇格。同61年7月の昼間交通量は都心部の奈良市大宮町5丁目で2万3,524台,同市登大路町で1万8,340台。 国道370号 和歌山県橋本市を起点とし山辺郡都祁(つげ)村に至る国道。総延長75.7km。県内実延長33.7km,重用延長37.0km。県管理国道路線。橋本市から五條市三在町までは国道24号と重用。同地点で分岐した370号は東進して吉野郡大淀町下渕に至り,ここで国道309号と重用し,さらに国道169号と重用して同郡吉野町窪垣内へと走る。ここで169号と分かれ,宇陀郡大宇陀町―同郡榛原(はいばら)町を経て山辺郡都祁村下井足で国道369号に接続する。昭和50年主要地方道榛原笠置線・同久居家城榛原線・同五條小川榛原線の各一部および主要地方道大宇陀国樔線が合同して一般国道に昇格。 国道371号 大阪府河内長野市を起点とし和歌山県串本町に至る国道。総延長247.6km。県内実延長2.5km。県管理国道路線。和歌山県高野町高野山で2つのルートにわかれ,同県花園村の箕峠で合流する。そのうち高野山中の橋を起点とし和歌山県竜神村大熊に至る高野竜神スカイラインが奈良・和歌山県境を縫うように走る。昭和50年主要地方道橋本高野竜神線から一般国道に昇格。県内舗装率および改良率はともに100%。 国道425号 三重県尾鷲市を起点とし,紀伊半島を横断して和歌山県御坊市に至る国道。総延長235.8km。県内実延長65.9km,重用延長20.8km。県内へは吉野郡上北山村河合に入り,同郡下北山村―同郡十津川村を経て和歌山県にぬける。途中,下北山村で国道169号と重用部分(1.5km)があり,また十津川村で国道168号と19.3km重用する。昭和57年主要地方道尾鷲上池原線および主要地方道吉野熊野公園折立線が合同して国道に昇格。県内舗装率40.1%,改良率1.5%。




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「角川日本地名大辞典」
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