100辞書・辞典一括検索

JLogos

20

浦郷港
【うらごうこう】


隠岐(おき)郡西ノ島町大字浦郷にある港。第4種漁港に指定されている。浦郷港は西ノ島・知夫里(ちぶり)島に囲まれた浦郷湾の湾頭に位置し,東・北・西と三方が山に囲まれ,南側は西に向かって知夫里島との間の赤灘の瀬戸(あかなだのせと)と東に向かって知夫里島と中ノ島の間の中井口(なかいぐち)が開いている。冬季の北西の風が防がれているため帆船時代には西廻り海運の有名な避難港であった。古代以来日本海の航海の神としてあがめられていた由良姫神社は浦郷に鎮座している。中世以来焼火権現(たくひごんげん)として航海者に信仰の厚かった焼火神社は浦郷港の東南の山頂にまつられている。浦郷湾は湾内が島後(どうご)の西郷(さいごう)湾に比してはるかに広いので支湾の美田(みた)湾・波止(はし)・赤之江(しやくのえ)・珍崎(ちんざき)などの船だまりがあって避難港としてはきわめてすぐれた条件を備えていた。そのために現在も,日本海航行の船舶はもちろん,沖合漁業出漁の大型漁船の入港が多い。漁港としては隠岐最大の漁獲を誇り,西郷港よりも漁港規模はすぐれている。これは,機船巾着網漁業が浦郷を基地として発達しているからである。隠岐航路の寄港地,また島前(どうぜん)各島,島後との連絡基地として国賀(くにが)・知夫赤壁(ちぶせきへき)・隠岐牧畑(まきはた)探訪の根拠地となっている。産物としては古来スルメ・塩干魚があり,現在はイワシ・アジ・サバおよびイカ・ブリも,隠岐最大の水揚げを示している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7178029