加茂港
【かもこう】

隠岐(おき)郡西郷町大字加茂にある港。隠岐群島島後(どうご)南部の加茂湾頭に位置する。第２種漁港。古代以来の港で，近世の「役人交替覚」によると，松江藩から派遣された代官および役人は島前(どうぜん)から島後に渡り，加茂または今津に上陸して八尾(やび)村の代官所に赴任することになっていたため，津戸(つど)港とともに島後の門戸となった。住民は早くから航海・漁業に進出し，「佐々木文書」には，中世美保関(みほのせき)港を中心に山陰道各地への物資の輸送に当たった船団の中に加茂船の名が見える。当港の北端に式内社加茂奈備神社が鎮座，神社の東方一帯は大領と称され，古代周吉(すき)郡の郡家の所在地と推定されている。当港の南の丘陵末端には船島古墳群がある。現在の当港は小型機船・巾着網漁業の基地港，イタヤ貝の養殖地となっている。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7178608