西郷港
【さいごうこう】

隠岐(おき)郡西郷町にある第３種漁港。隠岐群島島後(どうご)にある最大の港。島後の南東に位置し，西郷湾の中央に流れ込む八尾(やび)川の河口に築港されている。西郷湾は東湾(のぼりま)・西湾(くだりま)に分かれ，帆船時代には西廻り海運の寄港地であった。東湾は上方行きの帆船の寄港地，西湾は北陸方面行きの入港地である。西廻り海運の発展につれて，隠岐名産のスルメの集散地として全国的に知られた。入港船を船宿帳によって調べると加賀・越中・越後が多く，これに次いで瀬戸内地方船籍船が多い。近年日本海の漁業基地港となり，八尾川左岸側より西側の西港は第３種漁港に指定され，大規模な築港が実施され，八尾川河口両岸をつなぐ港橋も架設されて，漁業の根拠地となっている。また八尾川河口の左岸より東側は，東湾を含む全域が重要港湾に指定されて大規模な港湾改修が行われて客船埠頭・フェリー埠頭が整備され，本土との連絡隠岐航路の大型旅客船，フェリーが境(さかい)港・七類(しちるい)港との間を運航している。また島前(どうぜん)にも寄港し，島前・島後連絡船，白島(しらしま)・浄土ケ浦観光船の基地となっている。東湾は木材埠頭，貨物埠頭等のそれぞれ機能別に施設が整備されている。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7179135