100辞書・辞典一括検索

JLogos

36

美作国分僧寺
【みまさかこくぶそうじ】


奈良期~平安期の寺院跡。津山市国分寺字大門他に所在。吉井川と加茂川との合流点東南東約1.7kmの段丘上にある。昭和52年から同58年にかけて6次,40か所のトレンチ調査により,主要伽藍と寺域の大要がほぼ確認された。伽藍配置はいわゆる国分寺式でほぼ方2町の寺域中央に,南門・中門・金堂・講堂が南北一直線に並び,回廊が中門と金堂を結び,その東南外に塔を配置する。伽藍中軸線は北で約1度西偏する。金堂はほぼ寺域中心にある礎石瓦葺建物で,基壇は復元東西37.3m(125尺),南北22.4m(75尺)。基壇周辺に玉石敷の犬走りと雨落溝を巡らす。建物東北隅の礎石据付痕跡が検出された。講堂は金堂の北34.7m(117尺)にある礎石瓦葺建物。基壇は東西29.7m(100尺),南北19.0m(64尺)で,塼を立て並べて外装とする。中門は金堂の南57.5m(194尺)に位置する礎石瓦葺建物。基壇は復元東西22.6m(76尺),南北12.1m(41尺)。基壇外装は乱石積み。北側柱東第3柱にあたる礎石抜取穴が検出された。回廊は中門側面と金堂側面中央に取り付く。基壇幅8.3m(28尺),乱石積み基壇外装。基壇幅からみて複廊と推定される。塔は回廊の外,寺域の東南隅に近く位置する瓦葺建物。基壇規模は不明。基壇周辺に玉石敷の犬走りと雨落溝を巡らす。南門は中門の南39.7m(134尺)にある礎石瓦葺建物。基壇は東西24.1m(81尺),南北10.0m(34尺)。建物は桁行5間(19.5m,66尺),梁間2間に復元される。寺域を画する施設は,南限を画する南門東側面に取り付く築地と東限を画する溝が検出された。南面築地は基壇幅4.0m(13尺)。寺域東限溝は幅2.4~3m,深さ0.3mの素掘溝で,推定伽藍中軸線から104.0m(350尺)東にある。出土遺物は瓦・塼・須恵器・土師器・鏡・鉄釘・石帯などである。軒瓦は軒丸瓦が5型式7種,軒平瓦7型式10種ある。うち軒丸瓦ⅠA,軒平瓦ⅠAが平城宮第2次朝堂院使用瓦と酷似することが注目される。創建は奈良期中葉で,奈良期末~平安期初頭と平安期中葉~後半の2度の改修を経て,平安期末頃に廃絶したと推定される。なお,寺域東辺には,現在天台宗国分寺があり,境内には付近から搬入されたと伝えられる礎石6個が置かれている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7186851