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勇免古墳群
【ゆうめんこふんぐん】


古墳時代後期の古墳群。三次(みよし)市大田幸町勇免に所在。三次盆地の東部,馬洗川と美波羅川の合流地区に南東方向から張り出した標高220m前後(比高約30m)の低丘陵の山林中に,前方後円墳を含む約30基の古墳で構成される。昭和44年4月に,塩町中学校建設工事に伴い,第2~8号古墳の7基が発掘調査された。第2号古墳は丘陵尾根の高まりにあり,直径12m,高さ2mの円墳。墳丘中央にある全長2.9mの粘土槨から鉄鎌・鉄刀子・須恵器・土師器が出土。やや西よりに竪穴式石室がある。第3号古墳は北10mにあり,直径13m,高さ1.5mの円墳。土壙2があり,須恵器が出土。第4号古墳は東側に分岐した尾根上にあり,全長14.5m,後円部直径10m・高さ1.6m,前方部幅9mの前方後円墳。後円部中央に全長2.75m,幅50cm,深さ70cmの竪穴式石室,その直下に土壙,前方部裾に箱式石棺2があり,石室から鉄鉾・鉄鏃・鉄斧・鉄鎌・鉄刀子・須恵器坏・・平瓶が出土。また前方部裾から須恵器大甕・土馬などが出土した。第5号古墳は北東7mにあり,直径9.5m,高さ1.6mの円墳。粘土槨と箱式石棺があり,前者から勾玉など玉類・鉄刀子・鉄鏃・鉄鉇・鉄滓が出土。第6号古墳はさらに北東8mにあり,直径7m,高さ0.5mの円墳。竪穴式石室から勾玉・管玉・鉄鏃・須恵器類が出土。第7号古墳はさらに北東7mにあり,直径8.5m,高さ0.9mの円墳。竪穴式石室から鉄鏃・須恵器などが出土。第8号古墳はさらに北東80mにあり,直径9m,高さ0.6mの円墳。竪穴式石室・長円形土壙があり,後者から須恵器が出土。この古墳群の築造時期は6世紀前半(第4・5・6号古墳)から7世紀代にかけてで,横穴式石室出現前の後期群集墳の姿をよく示すものとして注目される。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7191446