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妹背山
【いもせやま】


県南西部,宿毛(すくも)湾口に浮かぶ沖ノ島にある山。足摺宇和海国立公園に属する。標高403.8m。ほとんどが花崗岩で構成されているが,山頂の南西部と南部の一部分に白亜紀四万十川層群須崎層の露頭がみられる。山頂付近には300m以上の高さを有する緩斜面が,南北約2.3kmにわたって広がる。特に南東部の玉柄西方の稜線には標高300~360mくらいの位置に緩斜面が東西約0.9km,南北0.8kmにわたって広がり,平地のほとんどない沖ノ島では,珍しい景観。その緩斜面の南縁は玉柄から南端櫛が鼻を結ぶ海食崖へ向け急斜面をもって落ち込む。稜線は,山頂から西方へは白岩岬,北方へは母島の東方で鞍部をつくり,北端の烏帽子崎の海食崖へ続いている。冬期,北西の季節風が激しい。植生は薪炭材としてたびたび人為的な更新を繰り返しているので,ウバメガシ・タイミンタチバナ・タブノキ・ヤブツバキ・スダジイ・ヤブニッケイなどのきわめて密生した亜喬木林が多い。最近山頂付近の緩斜面に入植も試みられた。足摺宇和海国立公園中の沖の島海中公園区に属し,山頂から東方に足摺(あしずり)岬・大堂海岸,北には宿毛湾,はるか西方には九州が望見できる。江戸期,沖ノ島は伊予宇和島藩領・土佐藩領に分割統治され,国境問題も起こったが,幕府の裁定の国境もほぼ,妹背山の峰伝いに引かれ,その東側が土佐藩領となった。なお,「今昔物語集」に載る妹背島の説話は,沖ノ島のこととされ,この妹背山の名もそれに由来する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7204087