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銭瓶峠
【ぜにがめとうげ】


赤松の嶺ともいう(豊国紀行)。大分郡挾間(はさま)町と別府市との境近辺にある峠。標高約360m。高崎山西麓の峠で,貝原益軒の「豊国紀行」に,「陸地を行く,高崎の西の方,赤松嶺を越す。難所なり。この道は遠し」とある。なお,東の海岸沿いは,海の荒れる日は通行不能だったと思われる。このことから,遠まわりでも安全な山道の銭瓶峠が官道とされた。この峠の南麓に銭瓶石というのがあって,たたけば金鼓の声をなすと伝えられる。また,泥棒が盗んだ金を匿したからともいわれ,峠の名はこれに由来している。峠頂上は四辻になっていて,道標が残っている。それによると,南はどうじり(堂尻)道,東府内(大分),北別府道,西ゆふいん(由布院)道とある。現在バス路線もあって,七蔵司(ななぞうし)・鳥越峠・浜脇へは1日数便が通っている。眼下に別府市街・別府湾,北西に由布岳,鶴見岳がある。九州横断高速自動車道が高崎山の西麓を通ることになれば,往時の官道の復活と同じで,峠の周辺,城ノ腰・キノウシロ・米山・七蔵司など,高崎城にゆかりある史跡も探訪できる機会が多くなる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7231279