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矢野(中世)


 南北朝期から見える地名。伊勢国一志【いちし】郡のうち。「神鳳鈔」所載の箱木御園に傍書して,「内宮矢野」と見え,享徳元年「庁宣注文」にも当地名が見える。また「内宮引付」文明5年6月(大日料8-6)には,周辺の神領より貢納される米などの積出港として,矢野浦が見える。さらに,享徳4年5月13日の旦那売券には,矢野七郷と見え,当地の旦那が浜宮泰地之弥三郎によって,10年を限り銭2貫文で,城南坊へ売られている(米良文書)。また同売券には「矢野の地頭ハ長野一族いとう・九藤にて候程ニ」とあり,長野一族の支配を受けていた。文明14年北畠氏は「矢野崎」に新警固(水上関)を設置し,3月3艘の船を拿捕したため,神宮は厳重に抗議,矢野浦に神木をたて,北畠氏に対し船の返還・新警固廃止を迫っている(氏経引付)。この結果6月には新警固が廃止された。なお,北畠家臣の矢野下野守が当地内に城を構えたというが(北畠家臣録),現在その跡はない。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典(旧地名編)」
JLogosID : 7368172