引野村(近世)

　江戸期～明治22年の村名。筑前国遠賀【おんが】郡（寛文４年御牧【みまき】郡が改称）のうち。慶長初年までは穴生【あのお】村のうちに含まれていた。福岡藩領。ただし，元禄元年～享保５年は直方【のおがた】藩領。村高は，「慶長国絵図」693石余，「正保郷帳」777石余（田664石余・畠113石余），「天保郷帳」788石余，「旧高旧領」787石余。「続風土記」によれば，枝郷に竹末村がある。鎮守は十二社権現。寺院は浄土真宗教念寺があり，明智光秀の異母弟僧芳俊が開基ともいう。明治初期の戸数109・人数554，牛34・馬66，田59町余・畑12町余・大縄田畠９町余・山林27町余，田は稲・麦，畠は麦・琉球芋・小豆・豌豆などを作り，正税は米・大豆191石余，雑税は米・大豆８石余と金５円余（地理全誌）。同22年上津役【こうじやく】村の大字となる。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典(旧地名編)」 JLogosID : 7442768