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嬉しい・喜しい
【うれしい】


uresii

【古代】1)心がみたされること。2)感謝する気持ちをもつこと。[中国語]高興。joyful, grateful.

【語源解説】
心(ウレ)・良(イ)シ→ウレシ(ウレシイ)。ウレはウラヤムのウラなどと同じ。意味では楽シと重なる点もあるが、楽シイは手や足など肉体と関係し、遠心的。嬉シイは精神的な点に集中しての充足で、求心的。イシはのちにイシイシ→イシイ→オイシイ(美味)となる。

【用例文】
○憙哉(あなウレシヤ)(紀)○夜の長きも嬉(ウレ)シカルべき/い群(む)れて居れば宇(ウ)礼(レ)之(シ)久(ク)もあるか(万)○{らくおの}mini{宇(ウ)礼(レ)志(シ)}/偉、慶説、奇、賀、幸、福、mini{於(オ)毛(モ)加(カ)志(シ)又宇(ウ)礼(レ)志(シ)}〔オモカシは偉大の意〕(新撰字鏡)○波にのみ濡れつるものを吹く風のたよりうれしきあまの釣船(紀貫之)○年頃うれしくおもただしき〔晴れがましい〕ついでにのみ立寄り給ひし(源氏)○嬉しき物……歌の本末(もとすゑ)問ひたるにふと覚えたる、我ながら嬉し(枕)○たよりうれしき心ちしてまかりしかば(とはず)○此ノ女房……ウレシク覚エテ悦ビ申サムトテ(今昔)○思(おもひ)がけぬ物を給(たまひ)たれば限りなくうれしう思ふたまへて(古本説)○嬉mini{ウレシ} {おんなさる}、歓、婢、娯、{おんなあま}mini{已上}mini{ウレシ}(伊呂波字類抄)○忝(かたじけな)くうれしさのあまりに、なくなくかうぞ思ひつづけ給ふ(平家)○久しく聞えさせねばなどばかりいひおこせる、いとうれし(徒然草)○さりながら、嬉し泣の涙は、涙は何か包まん/心うれしき酒宴かな(謡曲)○嬉(ウレシ)(早大節用集)○なうなう嬉しや/嬉しや……早速求て此様な満足な事は御ざらぬ/是は嬉しかなしう御めにかゝりました(狂言)○Vrexij. ウレシイ 喜ぶ、またうれしがる、自分が喜ぶようなこと、感謝するようなこと。ウレシサ、ウレシウ(日葡辞書)○嬉(ウレ)敷(シク)(易節用集)○うれしがなし(毛吹草)○鷹一つ見つけてうれしいらご崎(芭蕉)○うれしき物、其(その)日の男、はやういぬる〔去る〕の/ひぜん〔肥前瘡、皮膚病〕なをりて……嬉(うれ)し悲しく有ける(西鶴)○嬉(ウレシ)、りっしんご(同)mini{万葉}(書言字考)○のぞみのとほり一所でしぬるこのうれしさ/いかい御くらう皆わし故と存ずれば、うれしがなしう忝し(近松)○嬉(うれし)、嬉(うれ)敷(しく)(早節用集)○さああがれと出せばむす子うれしがり鹿子餅/〔御姫(ひめ)様の手紙に〕百(もゝ)夜(よ)過(すぎ)なばかならず逢(あは)んとの返事うれしく(咄本)○唐(から)の鏡(かゞみ)の屎(うんこ)をたべたよりも嬉(うれし)くて嬉(うれし)くてのゥ(浮世床)○嬉しひ日母はたすきでかしこまり/嬉しそうに抱へて女房質屋出る(川柳)○ウレシイ 嬉 コンナ嬉シイコトハナイ、嬉シクテタマラナイ、嬉シナキ、嬉シナミダ(ヘボン)○食(くひ)過ぎて寝られぬほどの歓喜(うれし)さ(尾崎紅葉)○平生の願が{りっしんはこきょう)(かな)ったのだと云って好いと嬉しく思はずにはゐられなかった(森鴎外)⇒〈おいしい〉〈たのしい〉




東京書籍
「語源海」
JLogosID : 8537216