鸚鵡返し
【おうむがえし】

^{o}mugaesi
【近代】いいかけられたことばを、ほとんどそのままくり返していうこと。また広く反射的に返事する行動など。[中国語]鸚鵡学舌。parroting repe-tition of another's words.
【語源解説】
おうむ{おうむ}がよく人の声をまねて言い返すところからの言い方。和歌においておうむのように人がいいかけた和歌をすこし変えて返歌をすること。二条良基『小(を)島(じまの)口号(くちずさみ)』(正平8年・1353)に、〈あうむがへしなどといふは常のことなれど、これハ心にしみておもしろくぞ覚え侍りし〉とみえる。和歌に限定された用語だったのが、のちは会話、ときに行動などにもひろく用いられるようになった。
【用例文】
○こと所〔外国〕のものなれど、あうむいとあはれなり。人のいふらむことをまねぶ〔まねる〕らむよ(枕)○唯今の返歌を鸚鵡返しに致して御座る(mini{和泉流}狂言)○Vv{o}mugayexi. ヲゥムガエシ 他人の和歌の文句をもじったりまねたりして、それをもとに歌をつくること(日葡辞書)○あふむがへしで行違ふ夜の舟/おふむがへしに頬へ付小町紅(川柳)○頼(たの)母(も)が言葉を其の侭に鸚(あう)鵡(む)返(がへし)の申訳(人情本)○来ずやと問へば来ずといふあうむがへしは歌ならで(八犬伝)○あうむ・がへし{鸚鵡返し}(一)和歌ノ語(二)酒席ノ語(日本大辞書)○左様なら、左様なら、古藤〔人名〕は鸚鵡返しに没(も)義(ぎ)道(どう)にこれだけ云って(有島武郎)
【補説】
おうむは古代、新羅から朝廷に献上されている。『wari{易林本}{小山板}節用集』に〈鸚(アウ)鵡(ム)mini{鳴音常ニ煎茶ト叫(サケ)ブ}〉とみえる。

![]() | 東京書籍 「語源海」 JLogosID : 8537247 |