脳動脈硬化症
cerebral arteriosclerosis, Hirnarteriosklerose
脳動脈の粥状硬化による脳血流量低下と,それによる二次的脳病変の症状がみられる病態である.中心症状は記憶障害を主とする痴呆である.脳動脈硬化症の原因として高血圧があり,高血圧はそれ自身で脳障害を起こす.高血圧性脳症hypertensive encephalopathyでは最低血圧の上昇により脳浮腫が起こり,一過性の頭痛や吐き気,視力障害,ときに意識障害が訴えられる.被害妄想や嫉妬妄想を呈することもあるが予後は比較的良好である.脳動脈硬化症の初期症状として頭痛,頭重,めまい,耳鳴り,睡眠障害などの自覚症状がみられる.こうした高血圧性脳症と区別の付かないような状態が続いた後で,まだら痴呆,情動失禁,夜間せん妄などの特徴的な症状が現れる.痴呆症状をさしていう場合には,脳血管性痴呆と呼ぶ.
| 丸善 「こころの辞典」 JLogosID : 12020533 |