脳平衡不全症候群
cerebral disequilibrium syndrome
慢性腎不全患者に対する人工透析開始時に,体液成分が急速に正常化されるために頭痛,嘔吐,軽度意識障害が起こることをさす.ほかに人工透析では社会生活が大きく制限されるので患者は喪失体験に苦しみ,うつ状態を経過することがある.心因性の病態に対しての精神療法が必要である.長期にわたる透析療法は非可逆的慢性器質性脳障害を引き起こすことがあり,透析脳症dialysis encephalopathyや透析痴呆dialysis dementiaといわれる.感情不安定・知能変化・性格変化などが急速に進行するものが進行性透析脳症progressive dialysis encephalopathyであり,原因はアルミニウムなどが推定されているが明白ではない.現在日本での人工透析患者数は10万人以上,平均年齢は50歳以上であり,精神面でのケアも大きな問題である.
| 丸善 「こころの辞典」 JLogosID : 12020535 |