認知療法
cognition therapy
認知行動療法cognitive-behavioral therapiesのひとつ.認知行動療法は行動を変えるには認知を変えればよいとする考え方.不適切な思考を適応的な思考で置き換えるのが認知再構成法,対処技術を学ぶのが対処技術療法である.認知療法は認知行動療法のひとつで,うつ病の治療から発展した.うつ病者の認知の三徴は,自己,世界,将来に対する否定的な見方である.認知の歪みとして,①恣意的推論,②選択的抽出,③過度の一般化,④拡大視と縮小視,⑤自己関係付け,⑥全か無か思考,⑦ポジティブな側面の否認,⑧感情的決めつけ,⑨「すべし」思考,10レッテル貼り,があげられる.共通する特徴は,極端,否定的,絶対的,抽象的であることである.こうした認知の傾向に気づかせ修正することが治療になる.習慣化し固定化した認知パターン(自動思考という)を知るために,状況・感情・自動思考をセットにした記録用紙を埋めていったり,これらにさらに理性的反応・結果をセットにした記録用紙(これがBeckの非機能的自動思考記録用紙)を使ったりする.自動思考を理性的思考で置き換えていくことが治療目標になる.
| 丸善 「こころの辞典」 JLogosID : 12021165 |