分裂(分裂病)
昔,連合心理学というものがあった.人間の精神は,観念の連合によって成り立っているとする.例えば,家,戦車,平和などの観念が,それぞれのまとまりをもち,かつ,他の観念との関係をもちつつ,心の中に蓄えられていて,その結果精神が成立しているとする.これらの観念の連合,つまり関係の仕方が崩れたものを「分裂」状態と呼んだ.観念の輪郭そのものが失われてしまうなら,むしろ痴呆に近いだろう.家は家,戦車は戦車,そこまではいいのだが,それらの関係になると崩れているという状態が分裂である.はなはだしい分裂を支離滅裂という.やや分裂している状態を連合弛緩loosening of associationという.現在は連合弛緩や支離滅裂は思考の障害として分類され,分裂病性残遺状態(欠陥状態)または陰性症状のひとつとみなされる.
| 丸善 「こころの辞典」 JLogosID : 12021221 |