了解
シュナイダーは表層での了解と深層からの了解を区別した.表層での了解は,患者の話を聞いていて自然に平明に了解できる次元のことで,子供の頃の様子や近頃の環境が現在の辛さをつくり出していると考えられるケースである.表層での了解には発生的了解と静的了解とがある.時間をさかのぼった原因から現在の状態が了解される場合には,発生的了解である.現在の状況から現在の辛さが了解できるならば,静的了解である.深層からの了解は例えば精神分析のように,無意識の層の力動から理解されるものである.ヤスパースは了解不能なものは説明が可能なだけであり,精神病は了解不可能であるとした.しかし了解能力が不足しているがゆえに了解できない場合もある.逆に,本来了解し得ないはずのものを私には了解できると思っている場合もある.
| 丸善 「こころの辞典」 JLogosID : 12021281 |