新語 政治・経済 法律 356 プロバイダ責任制限法【ぷろばいだせきにんせいげんほう】 インターネットでの情報流通において、著作権等の権利侵害時、プロバイダが負う責任の制限や、発信者情報の開示請求の権利を定める法律。2002年(平成14年)5月27日施行。プロバイダ責任法とも呼ばれる。正式名称は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」。 特定電気通信役務提供者(プロバイダ)とは、いわゆるインターネットプロバイダ(So-net等の接続業者)だけでなく、通信を行う携帯キャリア(NTTドコモ等)や、コンテンツプロバイダ(企業や団体の運営するホームページやソーシャルメディア)、個人の運営する電子掲示板等も含まれ、第3者が自由に書き込み・投稿できるメディア等全般が対象となる。 またプロバイダ責任法は国内法のため、海外拠点のソーシャルメディア(フェイスブック:アイルランド、2ちゃんねる:シンガポール・フィリピン)等は、直接の請求がしにくいか、実質できない場合もあるので注意が必要。 プロバイダ責任制限法は、文字通りプロバイダ側が負う賠償責任を制限するのが主旨となっている。この法律が無ければプロバイダは権利侵害を主張する者と、正当な発信だと主張する両者から責任を追及され、実質運営が困難になるため制定された背景がある。これはプロバイダ側が情報流通において、情報の送信を防止するのが技術的に不可能な場合や、権利侵害の情報が流通していると知らなかった場合に、権利侵害で発生した損害だけでなく、情報の流通を防止したことによって発生した発信者の損害等も含まれ、これらのプロバイダ側の責任を制限することで速やかな対応を行うためのものとなっている。 また、プロバイダ責任制限法では、著作権やプライバシーの侵害を受けた際に、被害者がプロバイダに対して「送信防止請求措置」ができる権利と、侵害をした加害者を特定するための「発信者情報開示請求」ができる権利が認められている。 具体的な請求方法は「プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会」が発行するガイドラインに従い、請求者の本人確認資料や、権利侵害の証拠資料等の提出が必要になる。原則は書面での提出となっているが、電子メール等の手段も認められている。 重要なのは「侵害された権利は何か」となるが、権利侵害と主張しても、法的には侵害に当たらないケースもあるため、著作権等やプライバシー侵害等の知識は理解しておく必要がある。 提出された資料をもとにプロバイダ側は発信者情報を確認し、確認できた場合は発信者に対して意見を聴取する。また確認できない場合や、特定が困難な場合は行わなくても良いとされている。 開示請求の場合は、権利侵害が明らかで、情報開示を受ける正当な理由があると判断した場合に行われ、省令により「発信者の氏名・住所・メールアドレス・IPアドレス・日時」が開示される。(2017/01,KK) Ea,Inc.「新語」JLogosID : 12665741