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グロッキー
【東京雑学研究会編】


§ふらふらの状態のことをグロッキーと言うのはなぜか?

「ああ、もうグロッキーだよ」なんて口にすることがよくある。心身ともにひどく疲れたとき、あるいはボクシングプロレスの選手が打ちのめされてフラフラになったのを見て、そう言う。この言葉はどのように生まれて、ポピュラーになったのであろう。実は人のあだ名由来すると言われている。
ときは一七世紀後半から一八世紀半ばのこと。イギリス人で、西インド諸島総司令官であったエドワード・バーノン提督は、悪天候のときにグロッグラムgrogram)と呼ばれる特徴ある布地の外套を着ていた。この布地は絹と毛の粗い混紡地であった。それで彼には「オールド・グロッグ(Old Grog)」というあだ名がついていた。
当時イギリス海軍の兵員に支給されていたラム酒は、アルコール度数が高く、ストレートで飲んだ兵員たちはいつも酔っ払っていたため、水で割って飲むよう命令が出された。そこで、この水割りラム酒が、提督のあだ名を取ってグロッグと呼ばれるようになった。ここから酔いをもたらす酒のことを、一般にグロッグと呼ぶようになったという。
ところが兵員たちは、こっそりとストレートで飲んでいた。提督のお出ましだというので、急いでラム酒を隠そうにも、みんな酔っ払ってフラフラであった。そして、この状態がグロッギー(groggy)と呼ばれるようになった。
こういうわけでグロッキーは、正しくはグロッギーなのである。そして次第に、ひどい疲れや殴られたことによる「足元のふらつきやよろめき」も、グロッキー表現するようになった。語源は、特徴ある布地の名前から作られた、イギリス海軍提督のあだ名だったのである。
提督は、はたしてこの事実を名誉なことと受け止めたであろうか。それはさておき、あまりグロッギーいやグロッキーにはなりたくないものである。




東京書籍
「雑学大全」
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