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海草
【かいそう】


「海草」と「海藻」は別物?

海草」はもともと陸上植物海草」と海藻」。どちらの文字を見ても、海のなかをゆらゆらと揺れながら海底に生えている草を思い浮かべてしまう人が多い思うが、この両者の字の違いは、まさに種類違いをあらわしている。その違いは、生い立ち関係があって、「海草」と海藻」ではまったく違っているのだ。海のなかをゆらゆらしているのは、海草のほうである。海草は、もともとは陸上植物だったという。日本海草代表といえばアマモだが、このアマモは、内海などの砂質の海底に、ススキのように生えている草である。海底の砂のなかには、節を持った地下茎があり、陸上植物のススキ同様に節ごとに細かい根が伸びている。アマモは、根から窒素リンなどの栄養分を維管束通じて地下茎や葉に運んでいる。その葉ではきちんと光合成がおこなわれ、茎に当たる組織のしくみも成り立っている。地下茎まで栄養を運んでもいるし、こうした形態を保っているのは、やはり、もとが陸上植物だった証拠でもある。また、海草は、顕花植物でもあり、海中でも花を咲かせて種子をつくって繁殖する。一方の海藻海中生える藻の類なので、花は咲かせずに胞子によって子孫を増やし、繁殖をする。しかも海藻には、海草のような光合成システムはない。そのため、直接、岩面などに付着して「仮根」というもので根付くしかないのである。この理由から海藻は、海底などの砂地生息することはない。窒素リンなどは、海水から体の表面を通って吸収されるので、岩場などでかつ海水がかかる部分にしか海藻は見られないのだ。ちなみに、食用として評価高いのは、もちろん「のり」で、おなじみの海藻のほうである。




東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820147