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タバコ②
【たばこ】


紙巻タバコ普及のきっかけは、明治時代の販売合戦

タバコポルトガル語からの外来語であることが示す通り日本タバコ伝えたのは一六世紀来日したヨーロッパ人で、一五四九年、フランシスコ・ザビエルとともに来日したポルトガル人という説が有力である。タバコを吸っているヨーロッパ人を見た当時日本人は、「南蛮人お腹で火を燃やしている」とたいへん驚いたという。南蛮渡来喫煙慣習はまたたく間に全国広がり長崎山城京都)、吉野奈良)などではタバコ栽培がはじまった。喫煙の広まりで米からタバコへの転作増えることを恐れ江戸幕府タバコ禁止令を出すが、たび重なる禁令にもかかわらず、タバコはどんどん庶民の間に広がっていったようだ。江戸時代のタバコは、キセル吸う刻みタバコであるが、現在のような紙巻タバコ登場したのは明治時代に入ってからである。初めて国産紙巻タバコ売り出されたのは一八七二(明治五)年で、明治一〇年から二〇年代にかけて普及しはじめるが、普及のきっかけは、「明治産業史に残る」とまでいわれたタバコ商による販売合戦である。まずは京都村井兄弟商会村井吉兵衛。彼は輸入されたタバコ使い、「ヒーロー」「サンライス」「ピーコック」といった横文字の商品名をつけて売り出した。タバコパッケージポスター洋風斬新なものだった。さてもう一方東京岩谷商会岩谷松平。彼が売るタバコ国産の葉たばこを原料とし、商品名も「天狗煙草」「日乃出」「岩天」など、輸入タバコには負けないぞ! とばかりの気合の入った名前であった。そして岩谷自らを「東洋煙草大王」と称し、真っ赤に塗った馬車売り歩いた。その後、しばらくは民営タバコ会社の激しい競争は続いたが、とうとう一九〇四(明治三七)年、煙草専売法が施行され、民営タバコ会社市場から姿を消した。ちなみに、政府がタバコ専売とした目的は、日露戦争戦費調達することにあったというから、煙たい話である。




東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820531